ネーミングも斬新で、奇をてらったものにすることが多い。
ところが、昔からずっと呼んでいた名前が親しみがわき、
古さかげんが逆に新鮮に聞こえることもある。
たとえば、鹿児島の名物である「げたんは」というお菓子も、
まさに下駄の刃そのものを表しているのだが、
(下駄の刃)の(の)を鹿児島弁らしく(ん)と読ませるだけで、
なんだか、やんわりとして面白みをかもしだす。
鹿児島県のお隣の宮崎県、宮崎県日向市でブランド化が進むのが
「へべすぶり」という商品である。
ぶりが付くから魚だろうとは想像がつく。
では(へべす)とは一体何なのか。
いろいろ検索してみると、へべす=平兵衛酢だとわかった。
平兵衛酢はカボスとかスダチのような柑橘類である。
この平兵衛酢を養殖ブリのエサとして与えて育てると、
ブリ特有の臭みが少なく、変色や色落ちも遅いという。
そこで「へべすぶり」の名でブランド化しようという
話になったのだが、平兵衛酢の平兵衛さんが気にかかる。
昭和62年、日向市富高西川内の広場に「平兵衛酢発祥の地」と
刻んだ平兵衛翁を顕彰する碑が建った。
平兵衛翁は江戸時代天保から弘化年間にかけて、
西川内地区に実在した人物で、平兵衛酢育ての親なのだ。
江戸、明治、大正、昭和と平兵衛酢は地元および近郷のみで
育てられ、愛用されてきた。
歴代の日向市長は商品力の高さに注目し、
なんとか日向の特産品として広く普及するよう振興策を図った。
一時期「サンズ」と名を変え、新たな普及拡販が進められたが、
へべすがなじみやすいとの地元の声を受けて、
平成元年再び「平兵衛酢」の名に戻した。
そして、今回のブリとのマッチングによって平兵衛酢は、
さらに大きく羽ばたこうとしている。
柑橘の王様へべさんが、漁業の神様えべすさんと交わって
どんなフルーティな味になったのか食してみたい。
http://www.miyazaki-katugyo.com/hebesuburi.html
へべすぶり
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